メドゥーザの祭典

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こんばんは、最近SpaceEngineerではついに惑星が実装されて、僕の愛する火星に降り立つことも可能になっただとかで、購入してしまった矢筈たまっぺ(やはず-)です。

上のイラストは、筑司連邦のテノン独立公安局(通称テノン)の平時公安隊、М.О.Б.(モープ)の隊員です。架空世界ストロナスのショートストーリーを前々から書こうと思っていて、一念発起して中間くらいまで書き上げられたので、冒頭の方から順番にブログに掲載していこうと思います。今回はその冒頭の部分です。

 

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 火星暦69年、この特別な年は旧筑紫連邦が地球の西日本で198369日に建国宣言をしてから、火星の一年を基準に丁度69年目の節目だ。連邦では、なにかと69の数字のつくものは縁起がよいとされている。この年の元旦から一週間は、政府令によってほとんどの民間企業は業務停止し、邦民はこの記念すべき祭典を楽しんだ。ある者は祭典の会場に赴いたり、ある者は休日を自宅ですごしたり各々が平和な時間を過ごした。

 筑司連邦、リルショーカ峡谷生存圏の実質上の首都である小倉(コクラ)では、その郊外の旦過(タンガ)という街に祭典の会場である巨大なドーム(メドゥーザと名づけられた)が設営され、この日だけはコロニー間の自由な往来の規制が緩和されたため、峡谷中から、また数十km離れた、もう一つの筑司連邦コロニー群であるオーロラ湾生存圏から多くの邦民が、このような他にない機会に訪れていた。

 会場の上空、エア・モニター(支持のない空中に映像を投影する技術)に、それまで表示されていた建国69周年記念祭典のロゴマークの映像が切り替わり、壇上に上った首相の奈取水過乃が映し出された。

 「本日は全国から多くの邦民の皆様にお集まりいただき、ありがとうございます。今回の祭典を実施できたことを、我々は大変嬉しく思います。我が産業局は、この日に向けて多くの経済団体にご協力を要請し、また祭典の準備にも、尽力してまいりました。この日くらいは、火星の開拓を休むものです。」

奈取首相は開拓庁の来賓席に視線を向け、そこから笑い声が聞こえた。

 「しかし残念ながら、オーロラ湾生存圏の同志であるテル首相には執務がお忙しいとのことで、この日にお越しいただくことが叶いませんでした。」

奈取首相は、テル首相の座っていたはずの誰も座っていない来賓席を示す。

 「テル首相はブラック企業にお勤めのようですな」

労働局の来賓席の方から、峡谷とは違い後から出来たコロニーだからという理由でナズナ経済ではなく、完全な資本主義を期間限定で遂行しているオーロラ湾を貶すブラックジョークが飛び出し、観客が一瞬ざわつく。そして、会場の一番奥の方、おそらく奈取首相には肉眼では見えないであろうところで、テノンの保安道具であるメルーク(弓のような形をした白兵戦用の武器)の独特な起動音が響く。

 「お前たちがパンタラッサ(二つのコロニー群をつなぐ唯一の連絡用道路)で検問をしているんだろう!」

と、オーロラ湾生存圏の邦民か、そのような罵声が会場に響き渡り、会場でどよめきが広がった。実際、パンタラッサの駐留交通管制庁はオーロラ湾からの交通に安全のため検問を行っていたが、ただ、通過を制限するようなものではなかった。会場の後ろの方で騒ぎが拡大しているのに気づき始めた奈取首相の元に、この日は会場の警備にあたっていたテノンの平時治安部隊М.О.Б.(モープ)の一人が飛翔し、会場の奥で起こっている事態を説明する。それを受けて、奈取首相はこのように言った。

 「私たちがテル首相をご招待しなかったのではなく、先ほど労働局員が言った冗談のように実際にテル首相は自らのご意思で参加されなかったのです。少なくとも私はオーロラ湾駐留峡谷大使からはそのように聞いております。」

 それからあいさつを済ませて、奈取首相は壇上を降りた。騒ぎ立てていたオーロラ湾の邦人はモープ隊に制圧され、会場から退去させられたが、この日の一連の騒動は中継していた報道機関や、その日のニュースによって全邦民に知れ渡り、多くのデマや邦民の不安を掻き立てることとなったのである。

 

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今回はここまでです。稚拙な文章ですが、続きはもう出来ているので次回また読んでいただけるととっても嬉しいです。

 

それでは!